黒い背景に浮き上がる花達

ゾーンプレート写真の特徴として、通常、挙げられるのは、既に述べた「被写体周りにハローが見られるソフトな写真」であると言うことです。他になにか特徴はないのでしょうか?

アナログ・カメラの時代からデジタル・カメラの時代になって大きく変わったことのひとつは、誰でも大量の写真を写真を撮影する事が簡単に安価にできる様になった事です。もちろん、大量のゾーンプレート写真も簡単に撮る事ができます。たとえば、花壇の花の写真をたくさん撮影すると、焦点を合わせた主要な被写体である花は明るくて鮮やかに写りますがその周りの背景は真っ黒になって、主役の花が黒い背景のなかに浮き上がって見えるような写真がしばしば撮影されます。同じ様な条件で撮影してもこのような写真がいつも撮れるとは限りません。また、レンズ付きカメラでこの様な写真が撮れる事はほとんどありません。これは、撮影に関る「光の波連の長さ(コヒーレント長)」が「(ゾーン数) x (光の波長)」に比べて十分長くないために、眼(或いは、カメラのレンズ)で見える明るさより暗く結像するためと推測されます。これを証明するには、結像する光線のコヒーレント長の情報を得ることが必要で容易な事ではありませんが、状況的に「正しい原因である」と考えられ、この現象は「ゾーンプレート写真をゾーンプレート写真らしく見せている」ゾーンプレート写真特有の現象であると推測されます。

以下に、この「黒い背景に浮き上がる花達」の写真の例をいくつか示します。一般に、あかるい花が密集して咲いている所の背後のやや薄暗い部分が目で見たときよりもハッキリと暗く写ります。