注釈_2:結像の公式


レンズの結像の公式

 
レンズの前方 a のところにある被写体の像がレンズの後方 b の位置にできるとして、a、b と焦点距離の間の関係を表したものが「結像の公式」で、次式で表されます。
$$\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f}$$
   

レンズの場合、図1に示すように、被写体AA’の像がBB‘にできるとして、光線A’RB’と光線A’OB’の幾何学的関係から、次のように簡単にこの式が導きだされます。
$$\frac{r}{a} = \frac{r’}{b’}$$
$$\frac{r}{f} = \frac{r+r’}{b} = \frac{r}{b} + \frac{r’}{b} = \frac{r}{b} + \frac{r}{a}$$
 
 
図1 レンズの結像の公式説明図
 

ゾーンプレートの結像の公式

ゾーンプレートの場合も、レンズの結像の公式と全く同じ結像の公式が成り立ちます。ただし、この公式の成り立つ根拠は異なります。レンズの場合の根拠は、光軸上の一点A(レンズからaの点)から出た光線がレンズを通過後光軸上の点B(レンズからbの点)に達する時にレンズ上のどの点を通っても同じ関係式が成り立つということですが、ゾーンプレートの場合、その根拠は、点光源からその像に至る経路が番目のゾーンを通過するときにはその経路長はAからBに直接向かう経路に比べて光の波長の (n/2) 倍になっているという事です(図2)。この式は、次のようになります。

$$\sqrt{a^2+{r_n}^2} +\sqrt{b^2+{r_n}^2} – (a+b) = \frac{1}{2} n\lambda $$

ここで、\(r_n\) はa、bに比べて非常に小さいので、

$$\sqrt{a^2+{r_n}^2} = a\sqrt{1+\frac{{r_n}^2}{a^2}}\cong a(1 + \frac{{r_n}^2}{2a^2} )= a + \frac{{r_n}^2}{2a}$$

$$\sqrt{b^2+{r_n}^2} = b\sqrt{1+\frac{{r_n}^2}{b^2}}\cong b(1 + \frac{{r_n}^2}{2b^2}) = b + \frac{{r_n}^2}{2b}$$

ですから、

$$\frac{{r_n}^2}{2a} + \frac{{r_n}^2}{2b} =\frac{n\lambda}{2}$$

となります。この式に、\({r_n}^2 = n\lambda f\) を代入すれば、次式で表される結像の公式が得られます。

$$\frac{1}{a}+\frac{1}{b} = \frac{1}{f}$$

図2 ゾーンプレートの結像の公式の説明図