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現在、私たちがゾーンプレート写真を撮るためにゾーンプレート写真撮影用のゾーンプレート・ カメラを準備するには次のような方法が考えられます。
(1)交換レンズと同じような形をした、いわば、「交換ゾーンプレート」あるいは、「ボディキャップ・ゾーンプレート」を購入する。
(2)フィルム製「ゾーンプレート・パターン」を購入、あるいは、フィルム製「ゾーンプレート・パターン」を自作し「交換ゾーンプレート」を自作する。
普通のレンズ付きカメラの「交換レンズ」を購入するのと同じように、撮影に使うカメラに適合した「交換ゾーンプレート」 が購入できれば、これをカメラにつけて撮影するだけなのでとても簡単です。しかし、 今の所、店頭や通信販売で購入できる完成品の「交換ゾーンプレート」は、実物の確認はしており ませんが、私の知る限り、Lensbaby社のゾーンプレートだけのようです。一方、「ボディキャップ・ゾーンプレート」とは、カメラを保護するためのボディキャップ の中央部分に穴を開けてそこにフィルム製「ゾーンプレート・パターン」を貼りつけたものです。貼り付 けるゾーンプレート・パターンの焦点距離は、通常、カメラのフランジバックの長さに合わせてあります。「ボディキャップ・ゾーンプレート」も上記「交換ゾーンプレート」と同じ目的で作られたものですか ら、一眼レフ・カメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式のカメラがあれば、カメラに取り付けてすぐに使えます。「交換ゾーンプレート」に比べると多くのカメラに対応したボディキャップ・ゾー ンプレートが入手可能です。しかし、それでも、カメラの種類にかなり制限はあります。また、ゾー ンプレートの種類やゾーン数もほとんど選べません。たとえば、下記の Pinhole Resource (米 国)や Zero Image (香港)の通信販売で入手可能です。
https://www.pinholeresource.com
http://zeroimage.com/Pinhole_Camera_Order_2015.html
なお、常時販売しているかどうかは確認していませんが、インターネットで見ると、エーパワー(日本) やeBay 等の他のサイトでも販売していることがあります。
ところで、これらの「ボディキャップ・ゾーンプレート」は像距離が一定で、「ピント合わせができない」とい う問題があります。本書のこれまでの説明を見ればわかるように、今までは「ゾーンプレートは 被写界深度が深いためにピント合わせは必要ない」と考えられてきましたが、実は、「色収差が極端に大 きいために、被写体からの支配的な光の波長に合わせて像距離を調整しなければならない」ので す。また、マクロ撮影をする場合には像距離を長くする調整が必須です。そこで、必要とする焦点距離のゾーンプレート・パターンを用意して、像距離が可変な「交換ゾーンプレート」を作って利用することが、良さそ うです。この方法をとる場合も、パターンの撮影されたフィルムを購入する場合のフィルムの入手先としては、上記のPinhole Resource (米 国)や Zero Image (香港)の通信販売が可能であると思われます。もっとも、希望するような ゾーンプレート・パターンの入手が困難な場合には、「ボディキャップ・ゾーンプレート」を購入 して、パターンをはがして改造するという方法が考えられます。
そこで、最も理想的なのは、すべて自作する方法です。この方法によれば、ゾーンプレー トのパターンの種類も、焦点距離やゾーン数も自由に選べます。ただし、以下の説明でも述べてあ るように性能の良いゾーンプレートを得るためにはフィルムやその処理について十分気をつける必 要があります。以下、このゾーンプレート準備方法について具体的に説明していきます。
ゾーンプレート・パターンの作成
ここでは、ゾーンプレートの形状、あるいはその形状をフィルムに撮影・現像したものを「ゾー ンプレート・パターン」と呼ぶことにします。交換レンズで言えば、ガラスやプラスチックでできたレンズそのものに相当する部分です。ゾーンプレートを可視光写真撮影以外の目的で使うと きには光が透過する透明部分は真空にしなければならないことがありますが、可視光写真の場合 は透明部分がフィルムなど光を通す物質でできていても問題ありませんから、作りやすいようにフィルム上にゾー ンプレート・パターンを描いて(撮影して)使います。この時、「交換ゾーンプレート」を作る上で一番重要 なのが、フィルム上にゾーンプレート・パターンを作成することであると言えます。この作業は以 下に記すような手順で行われます。
(1)ゾーンプレートの種類、対象とする光の波長、焦点距離、ゾーン数を決める。
(2)この数値から同心円の半径を計算し、ゾーンプレート・パターンの拡大図を描く。 (3)パターンがフィルム上で必要な大きさになるように、この拡大図を撮影する。
これらの作業について、以下、順番に説明します。
(1) ゾーンプレートの種類、光の波長、および焦点距離、ゾーン数の決定
すでに説明したように、振幅型ゾーンプレートに限ってもいくつかの種類のゾーンプレート・パ ターンがあります。最も基本的なものが、透明領域と不透明領域が明確に分かれているために「バイナリー・ゾーンプレート(binary zone plate:二値ゾーンプレート)」とも呼ばれ る「フレネル・ゾーンプレート(Fresnel zone plate)」です。これに対して、透明度が連続的 に滑らかに変化しているゾーンプレートもあって「ガボール・ゾーンプレート(Gabor zone plate)」と呼ばれます。フレネル・ゾーンプレートとガボール・ゾーンプレートの透明度の変化 の様子を図1 に示します。ここでは、波長(λ)が550 nm (=0.00055 mm)の光に対して、 焦点距離(f)が100 mmで、ゾーン数が9、19、29、39であるようなゾーンプレート・パターン を作成することを念頭に説明を続けます。
図1 ゾーンプレートの透明領域と不透明領域
上の図がフレネル・ゾーンプレートで、下の図がガボール・ゾーンプレートです。左図の赤い枠 の部分を拡大して右図に示してあります。黒い部分が不透明で白い部分が透明です。右図のグラフ は透明度を表しています。ガボール・ゾーンプレートでは透明度が連続的に滑らかに変化していることがわかります。
(2) 同心円の半径を計算して、ゾーンプレート・パターンの拡大図を描く
この項目に関する計算等については下に詳しく説明しますが、(1)で決めた数値を使って描 いたフレネル・ゾーンプレート、ガボール・ゾーンプレート、直交線形ゾーンプレート、及びフォ トンシーブのゾーンプレート・パターンの拡大図を図2〜図5として載せておきますので、(計算はしな くても)これらを使って(3)の操作に進むことができます。また、同じ種類のゾーンプレートは、 ゾーン数が同じならば、焦点距離が変わってもお互いに相似形ですから、縮尺を変えれば全て一 つの図で表すことができます。図2〜図5にはゾーン数が 9、19、29、39 であるゾーンプレー トについて焦点距離が、50、100、200 mm の場合の尺度(フィルム面上で2 mmになる長さの 矢印)が示してあります。この矢印の長さは焦点距離の二乗根に反比例しますからこ こに示した焦点距離以外についての尺度も容易に作れます。また、これらの図にないゾーン数につ いても39以下ならば、外側からゾーンを取り除いていくことで実現できます。
なお、これらの図を使わずなくてもWeb上には、必要なデータ(波長、焦点距離、ゾーン数)を入力すれば計算から描画まで してくれるサイトもあるので、これらのサイトを利用することも可能です。ゾーンプレート・パター ンはネガフィルムを使っても、リバーサルフィルムを使っても作成可能ですが、ここでの説明はネ ガフィルムを使った場合を想定しています。リバーサルフィルムを使う場合は、撮影に使うパター ン(図2〜図5)の階調(白黒:透明部分と不透明部分)を逆転しておくことを忘れてはなりま せん。
まず、ゾーンプレート・パターンの実際の大きさがどの程度になるのかを考えてみます。すでに記したように、フレネル・ゾーンプレートの中心円の大きさは、同等の写真を撮るためのピ ンホールの大きさと同じです。この値を数式を使って表すと次のようになります。光の波長がλ(mm)で、焦点距離が f (mm)のゾーンプレートの中心円の半径は、\(f\lambda (mm)\) で与えられます。 ゾーン数がNのゾーンプレートでは、中心円を 1 として一番外の円まで N 個の円が同心円として並んでいます。この時、n番目(n = 1,2,3,…N)の円の半径は、\(r_n=\sqrt{nf\lambda}\) で与えられます。例え ば、このゾーンプレートの基本的パラメーターを、\(\lambda=0.00055 mm\) 、f = 100m m、N = 39 として代 入すれば、中心円の半径、及び最外円の半径は、\(r_0=0.23 mm\) および \(r_N=1.46 mm\)であることがわ かります。図2〜図5の右上のパターン(N = 39)の大きさを下方のスケールのうち f = 100mm用のスケールを使って調べれば、上に計算した値になっていることが確認できます。
このように、図2〜図5のゾーンプレート・パターンは下側に与えたスケールに従って見れば 正しい大きさになっていることがわかります。そこで、実際に使われるゾーンプレートのサイズの M倍(例えば、M=20 として、20倍)の大きさになるようにプリントして、ゾーンプレートの拡 大図を作ります。具体的には、これらの図のスケール(赤い矢印の長さ)はフィルム面上で 2 mm を表していますから、M倍の拡大図を得るためにはこの矢印の長さが 2M mm (この例で は、40 mm)になるようにプリントすれば良いわけです。なお、M=20 の拡大図面の大きさは、A4サイズになるようにしてあります。
(※注)ここで、図2〜図5のゾーンプレート・パターンについての簡単な説明と注意事項を述 べておきます。まずそれぞれの種類のゾーンプレートは、焦点距離が違っても完全に相似形です。 また、ゾーン数が異なっていても、ゾーン数の多い方のパターンについて外側から余分のゾーンを取り除けば相似形となります。これは、同心円の半径が \(r_n=\sqrt{nf\lambda}\) と表されることから明らかです。なお、直交線形ゾーンプレートの場合は、この値は半径ではなくx軸方向及びy軸方向のゾーン の境界の位置を表しています。したがって、図2〜図5には、それぞれ、4つのパターンを描い てありますが理論的には、それぞれの種類について一つだけパターンを描いておけば良いことに なります。
図2 フレネル・ゾーンプレート・パターン拡大図
ゾーン数9、19、29、39(小さいほうから順に、右上から時計回り)のフレネル・ゾーン プレートのパターン拡大図を示す。赤い矢印は、上から順に、焦点距離が 50 mm、100 mm、200 mmのときのフィルム上の長さを示す。
図3 ガボール・ゾーンプレート・パターン拡大図
ゾーン数9、19、29、39(小さいほうから順に、右上から時計回り)のガボール・ゾーン プレートのパターン拡大図を示す。赤い矢印は、上から順に、焦点距離が 50 mm、100 mm、200 mmのときのフィルム上の長さを示す。
図4 直交直線型ゾーンプレート・パターン拡大図
ゾーン数9、19、29、39(小さいほうから順に、右上から時計回り)の直交直線型・ゾー ンプレートのパターン拡大図を示す。赤い矢印は、上から順に、焦点距離が 50 mm、100 mm、200mm のときのフィルム上の長さを示す。
図5 フォトン・シーブのゾーンプレート・パターン拡大図
ゾーン数9、19、29、39(小さいほうから順に、右上から時計回り)のフォトン・シー ブのパターン拡大図を示す。赤い矢印は、上から順に、焦点距離が 50 mm、100 mm、200 mm のと きのフィルム上の長さを示す。
(3) 紙にプリントしたゾーンプレート・パターンの拡大図を撮影する
次に行うことは、(2)で得られた「ゾーンプレート・パターンの拡大図」をアナログ・カメラ によって写真フィルム上に撮影することです。(2)で得られた拡大図のゾーンプレート・パター ンは、必要な大きさのゾーンプレートのM倍(ここでは1ページをA4用紙に印刷するとして、M=20)になっていますから、フィルム 上で、その1/20 の大きさになるように(拡大図からカメラまでの距離を調整して)撮影します。
ここで問題になるのは、撮影用のフィルムとして何を使うかということです。今、目的としてい るのは極めて小さなパターンを撮影してフィルム上にはっきりと描き出そうということですから、コントラストが強く分解能が高いフィルムを使う必要があります。コントラストについて言えば、 不透明ゾーンはなるべく光を通さずに透明ゾーンはなるべく光を減衰させないことが必要で、分解能について言えば、最も細いゾーンも描き出せることが必要です。必要なコントラストの大きさの 限界を定量的に表すのは困難ですが、分解能に関しては可能です。ゾーンプレートでは一番外側の ゾーンの幅が最小ですから、このゾーンを表現できるか否かがフィルムの分解能に対する条件にな ります。フレネル・ゾーンプレートのパターンにおいて最も細かい部分である一番外側のゾーンの幅 Δrは、 \(\Delta r \cong 0.5 \sqrt{f \lambda/N}\) とあらわせます。これが具体的にどのような値をとるかを、図2のフレネル・ゾーンプレートについて計算したものを表1に載せておきます。この表から、例えば、 (波長が550 nmの光に対して)焦点距離が 50 mm でゾーン数が 9 であるようなゾーンプレー トの一番外側のゾーンの幅は0.028 mm であることがわかります。したがって、このゾーンプレー トのパターンをフィルム上に作るためには、そのフィルムの分解能は 0.028 mm よりも十分細か い線を見分けられる能力を持つようなものでなければなりません。
表1 フレネル・ゾーンプレート(図2)の最外ゾーン幅
一方、これらのゾーンプレート・パターンを写し取るフィルムの候補いくつかについての分解 能をまとめたものが表2です。デジタル・カメラの時代になってフィルムがあまり使われなくなっ たため生産中止になるフィルムもふえてきましたが、ゾーンプレート・パターンを作成できる市販 フィルムはまだ存在しています。実際、表1と表2を見る限り、分解能に関しては、これらのフィ ルムはいずれも、今考えているゾーンプレート・パターンを作成する上で問題ないと考えられます。 しかし、分解能のデータは最適条件のもとでのデータであることを考えれば、上の表のFujicolor 100とVelvia 50は焦点距離50 mmでゾーン数29以上のゾーンプレート・パターンを製作する上 で十分余裕があるとは言えないかもしれません。
なお、本書のここまでの記述において使用したゾーンプレート写真はすべて、マイクロフィルム (Mini Copyと同等の性能)を用いて作成したゾーンプレート・パターンによるもので、コントラ スト、分解能共に十分な性能を持っているフィルムです。
表2 各種フィルムの分解能の例
ゾーンプレートの作成は、かつては、高コントラスト・高解像度のMini Copy(Fuji Film)あ るいはTechnical Pan(Kodak)によって行うのが普通でした。しかし、今世紀のはじめに両フ イルムとも生産中止になりコントラスト、解像度共に十分高いフィルムが手軽に使えなくなりまし た。マイクロフィルムならば、Mini CopyやTechnical Panと同等の性能が達成できますが、この フィルムを使って撮影するには専用のカメラを必要とする上、一巻のフィルムの長さが数十メート ルにも達するので、一般の写真家がゾーンプレート・パターンを作成することだけを目的にしてマ イクロフィルム撮影装置を用意するわけにはいきません。私が実際に行なっているように、マイク ロフィルム会社に撮影を依頼すれば良いのですが、必ずしも、すべて自作でゾーンプレート・カメラを作るという観点からは適切な方法であるとはいえません。
そこで、入手と利用が容易なフィルムを使ってゾーンプレート・パターンを作成してその性能を 検討しました。実際に、Mini Copy および Technical Pan以外のフィルムでも注意深く使えば、 満足できる結果が得られます。ここでは、モノクロ・ネガフィルムのAcros 100 を使ってゾーン プレート・パターンを作成して、マイクロフィルムによるゾーンプレートと比較しました。以下に 示す図7〜図10は、マイクロフィルムで作成したゾーンプレートによる写真とAcros 100による 写真の比較です。使用したカメラは Olympus E-PL6 で、スイレン(図7、図8)とシャガ(図 9、図10)の花を撮影しました。使用したゾーンプレートは、焦点距離 50 mm、ゾーン数19 (図7、図8) 及び9 (図9、図10)です。なお、この際、次のような点を考慮しています。
(1) フィルムの不透明部分がなるべく光を通さないように黒くするために、撮影に当たっては 過度の露出になるように、カメラ内蔵の露出計の指示よりも露出量を増やした写真を撮影し、実 際には+3EVだけ露出を増やした写真を採用しました。
(2) 上のような操作をしても不透明部分の黒色が薄く感じられたので、ゾーンプレートの最大円の外側 の領域に黒いフィルムを重ねて光をなるべく通さないようにしました (図6)。ゾーンプレート 内部の不透明ゾーンの不透明度を高める操作は困難ですが、ゾーンプレート外側の広い領域ならば このような操作が簡単だからです。
図6 使用ゾーンプレートの補正
モノクロ・ネガフィルム (acros 100)で作成したゾーンプレートの性能を比較するために、マイ クロフィルム(mf)、acros 100(ac)によるゾーンプレートに加えて、ac-ゾーンプレートの背景の不 透明度を高めた「ac+」ゾーンプレートによる撮影も行いました。マイクロフィルムによるゾーン プレートmfを基準に見ると、ゾーンプレートacは全体的に不透明度が低くグレイにみえ、補正した ゾーンプレートac+はゾーンプレートの部分だけが不透明度が低くグレイに見えます。
図7〜図10には、(a) レンズを使って撮影した写真、(b) マイクロフィルムを使って作成した ゾーンプレート(mf)による写真、(c) Acros 100 を使って作成したゾーンプレート(ac)によ る写真、(c) Acros 100 を使って作成したゾーンプレートにおいて最大円の外側の領域に黒いフィ ルムを重ねてその部分の不透明度を高めたゾーンプレート(ac+)による写真、を載せてあります。 また、図7と図9は後処理を加えていないオリジナルな写真で、図8と図10はオリジナル写真 に霞取り処理を行った写真です。
全般的な印象として、Acros 100によるゾーンプレートで撮影した作品は、マイクロフィルムによるゾーンプレートの写真に比べて、不鮮明さが増加しますが、これはフィルムのコントラストが 低いためと考えられます。特に重要なのはゾーンプレート・パターンの外側部分の不透明部分の不透明度が低くなっていて、ここを通ってきた光が不鮮明さを増強していると思われるので、上記 (2)の操作を行っています。すなわち、黒いフィルムを重ねてこの部分の不透明度を増強したゾー ンプレートを使って撮影した写真(各図の(d))も載せてあります。このような処理をすることで かなり改善が見られることがわかります。この効果は、特に、ゾーン数が少ないゾーンプレートで 撮影した図37と図38のシャガの写真で顕著ですが、これはゾーン数が少ないためにゾーンプレー トの外側の不透明部分が広いことによります。また、いずれの場合も、レタッチ前のオリジナル 写真では差が多いのですが霞取り処理を行うことでその差が小さくなり、背景部の不透明度を高 める操作の必要性が少なくなります。
図7 ゾーンプレート作成フィルムの比較(1):スイレンの花(霞取り前)
焦点距離 50 mm、ゾーン数 19 のフレネル・ゾーンプレートで撮影したスイレンの花(撮影した ままの写真)。(a) レンズ付きカメラで撮影、(b)マイクロフィルムで作ったゾーンプレートで撮 影、 (c) Acros 100 で作ったゾーンプレートで撮影、(d) Acros 100 で作ったゾーンプレートの外部の不 透明度を上げたゾーンプレートで撮影。
(c) の写真はやや不鮮明であるが、(d)と(a) の差は見られない。
図8 ゾーンプレート作成フィルムの比較(2):スイレンの花(霞取り後)
焦点距離 50 mm、ゾーン数 19 のフレネル・ゾーンプレートで撮影したスイレンの花(霞取り処 理後の写真)。(a) レンズ付きカメラで撮影、(b)マイクロフィルムで作ったゾーンプレートで撮 影、 (c) Acros 100 で作ったゾーンプレートで撮影、(d) Acros 100 で作ったゾーンプレートの外部の不 透明度を上げたゾーンプレートで撮影。
(c) 、(d) と (a) の写真の間に差はあまり見られなくなった。
図9 ゾーンプレート作成フィルムの比較(3):シャガの花(霞取り前)
焦点距離 50 mm、ゾーン数 9 のフレネル・ゾーンプレートで撮影したシャガの花(撮影したまま の写真)。(a) レンズ付きカメラで撮ったスイレンの花、(b)マイクロフィルムで作ったゾーンプ レートによるスイレンの花、 (c) acros 100 で作ったゾーンプレートによるスイレンの花、(d) acros 100で作ったゾーンプレートの外部の不透明度を上げたゾーンプレートによるスイレンの花。
(c) の写真はやや不鮮明であるが、(d)と(a) の差は見られない。
図10 ゾーンプレート作成フィルムの比較(3):シャガの花(霞取り後)
焦点距離 50 mm、ゾーン数 9 のフレネル・ゾーンプレートで撮影したシャガの花(霞取り処理後 の写真)。(a) レンズ付きカメラで撮ったシャガの花、(b)マイクロフィルムで作ったゾーンプレー トによるシャガの花、 (c) acros 100 で作ったゾーンプレートによるシャガの花、(d) acros 100 で作っ たゾーンプレートの外部の不透明度を上げたゾーンプレートによるシャガの花。
(c) 、(d) と (a) の写真の間に差はあまり見られなくなった。