撮影と画像処理_1:ゾーンプレートの準備

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ゾーンプレート・カメラ

ゾーンプレート写真を撮影するためには、「ゾーンプレート写真用カメラ」を用意しなければなりません。ここでは、カメラのボディは自作しないでデジタル一眼レフ・カメラ、あるいは、ミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式カメラを使って、普通の交換レンズに相当する「交換ゾーンプレート」を作って利用することを考えます。この点に関してはピンホール写真の場合と全く同じです。もちろん、ピンホール写真撮影の場合と同様にカメラのボディを含めて全て手作りにすることも可能です。ただし、ここで述べるゾーンプレートはデジタル・カメラを使うことを前提にしています。フィルム・カメラを使うときには、ここに描いたこと以外に色々な課題が出てくる可能性があります。また、ゾーンプレートの場合には、既に述べてきたことからわかるように、各ゾーンプレートは固有の焦点距離を持っていますから、ゾーンプレートから撮像面までの距離には注意しなければなりません。さらに、「ゾーンプレート」自体も、以下に示すように、ピンホール・プレートを作るのよりは手間がかかります。もっとも、最近では、インターネット上の通信販売で、フィルムに写されたゾーンプレートのパターンを購入することが出来ます。自作する(フィルム代+現像代)よりは遥かに高価ですが、とりあえず1枚だけゾーンプレートを用意して、撮影してみようという場合には有効な方法です。このようなゾーンプレートのフィルムを手に入れて、これに合わせてカメラのボディを自作するわけです。

なお、実際にゾーンプレート・カメラを作る上での具体的方法については注釈_9(ゾーンプレート・パターン)と注釈_10(交換ゾーンプレート)をごらん下さい。

ゾーンプレート・パターンの作成(注釈_9)

ピンホールは単に一つの穴ですがこれに比べると、ゾーンプレートは複雑な形をしています。しかも、今考えているような写真撮影のためのゾーンプレート・パターンの大きさはとても小さくて、直径が数ミリメートルの円の中に透明な同心円が10個以上も含まれているのが普通です。したがって、ピンホールのように金属板に錐やドリルで穴をあけて作ることはできません。科学技術の分野での研究開発などに用いられるゾーンプレートは普通私たちの目が感じることの出来る可視光よりも短い波長の光線(例えば。X線)を対象としているため一層小さなパターンになる上に高い精度が要求されるのでその製作には特別な加工装置を使っています。アマチュアが、特別な装置を使わずにゾーンプレートを作る方法として通常使われているのは、まず、パターン作成に必要なゾーンの半径(注釈_1)を計算して、この数値を数十倍から数百倍に拡大して描いたゾーンプレートのパターンを紙に印刷して、これをフィルム・カメラでモノクロフィルムに撮影して、そのフィルムをゾーンプレートとしてそのまま用いる方法です。撮影したフィルムをそのまま用いますから、フィルム上のゾーンプレートのパターンの大きさが必要な大きさになるように、撮影するカメラのレンズの焦点距離に合わせて撮影距離を調整しなければならない事は言うまでもありません。また、ゾーンプレートでは、中心の円が透明(正のゾーンプレート)でも不透明(負のゾーンプレート)でもかまわないのですが、ネガ・フィルムに撮影するとき階調が反転する事に気をつける必要があります。このプロセスを全て自分でしてもよろしいのですが、ゾーンプレートの大きさを計算して必要な大きさに拡大したデータを作成するソフトウエアあるいはインターネット上で実行できるサイトも存在します。

交換ゾーンプレートの作成(注釈_10)

全てを手作りするピンホール・カメラと違い、ここでは既製品のデジタル・カメラのレンズ部分だけをゾーンプレートにすることを考えています。したがって、通常、カメラはレンズ交換のできる一眼レフ・カメラあるいはミラーレス一眼カメラが対象となります。「ゾーンプレートは、通常の撮影用レンズと比べて、F値が極めて大きいので、固定焦点でよい」とよく言われており、このため、焦点距離をカメラのフランジバックの長さに合わせたゾーンプレート・パターンを、穴を開けたカメラのボディキャップに貼り付けた物がよく使われます。しかし、本ホームページで繰り返し書いているように、ゾーンプレートには焦点があるだけでなく、その焦点距離には極めて大きな波長依存性があるので、交換ゾーンプレートは可変長でピント合わせが可能なものでなければなりません。ボディキャップ型交換ゾーンプレートでも写真は撮れますが、写真のとれ具合は被写体からの光の波長構成などに強く依存するので常に使える方法ではありません。